言葉に関するくだらない考察 その2
そういえば、相手を呼ぶときのちょうどいい言葉ってないよね。 とふと思った。 日本語には、「敬意逓減(ていげん)の法則」というのがある。 長く使われている言葉の、丁寧な印象がだんだん失われていくというもの。 最近、「~させていただきます」がやたらと乱発されるのもその一つだろう。 「させてもらいます」とか、「いたします」では何となく失礼に聞こえるようになってきちゃったのだ。 「お前」はごく身近な目下の者にしか使えないし、同じように二人称である、「君」とか「あなた」とかも非常に使いづらい言葉になってきた。 すでに僕たちの世代は「あなた」と呼ばれると、何となく上から言われているような印象を受ける。友達に「君さあ」というのもちょっと怒っているみたいだ。 さてどうしよう。 そこでよく使われるのが「あっ」という言葉である。 いちいち名前言うのも違うし、うまく相手を呼べないけれど、いきなり本題に入るのも不躾だというときに、よく、 「あっ、そういえば、こないだどこどこ行った?」 などと使うのだ。「あっ」のところに「きみきみ、聞いてくれたまえ」という意味がこもっている。 でも、「あっ」は二人称じゃないしなあ。 「YOUさあ」とか「お主は」などふざけて使うときはあるが。 「君」と「あなた」が勢いよく生きているのが歌詞の世界だ。 使わないと意味が伝わらないのでね。 きざな言い回しにすると、すこし敬意というのは上がるらしい。