郷土唱歌CD発売記念ライブ


静岡の郷土唱歌を編曲しないかという依頼を受けてから、もう1年ほど。

唱歌集「静岡県郷土唱歌」の全28曲を編曲・録音し、T2オーディオレーベルよりCDを発売。
そして、ついに!レコ発ライブを無事行うことが出来ました。

まずは、ライブに来てくださった皆様、関わってくださったスタッフの皆様、ありがとうございました!

いやー、大変だったけど、本当にいい経験になりました。


郷土の歴史などの豆知識をMCではさみながら、出演の都合で抜いた2曲をのぞく、26曲を唱歌集の順番通り淡々と演奏したわけだが、まさに「初演」という言葉がふさわしい発表会であった。

つまり正直なところ、メンバー一同緊張したり、まだこなれていなかったりしてふわふわとした感じだったのだ。

第一回目にしか味わえないその雰囲気は、ある意味貴重だけれど。


改めて考えてみると、ぼんやりと捉えどころのない戦前という時代の、教育を目的とした生真面目な曲たちと、自分の様々なジャンルに触手を伸ばした編曲とが反応して、妙に不思議な唱歌が出来上がってしまったように思う。

僕達の小さな小さな郷土には、色とりどりの愛すべき景色が数限りなくある。
その土地土地に漂っている情感を、演奏によって表してみた結果だった。

そうそう、最近、古い白黒の写真や映像に色を付けるという活動があるが、まさにそんな雰囲気だ。

余分なこと…、と捉えてしまえばまさにそのとおりかもしれない。
でもそれによって見えてくる、リアルな現代と過去のつながり、というものもあるだろう。


録音も終えてから、実は「静岡県郷土唱歌」にはピアノ譜が存在していたことを知った。

小学校の先生が弾くための、ごくごく唱歌らしい伴奏であった。

それは本当の白黒写真で、まさに資料として大切にしなければならないものだと思う。


今の世の中は、文化も常識もどんどん移り変わっていって、おばあちゃんの知恵袋は迷信に、親の意見と茄子の花は、どうもきれいに咲かなくなってしまった。

うちの子は2歳になるが、まだ舌っ足らずで、咲いた咲いたチューリップの花がー、を
「ぴっぴっぽーのはだがー」と一生懸命歌っている。

せめて、おじいちゃんもおばあちゃんも、僕達も、子ども達も、みんなにこにこしながら一緒の歌を歌えるように、大切に語りついでいきたい音楽はもっとたくさんあるように思う。



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