根っこ

アパートの外の花壇にジョーロで水をかけていてふと思い出したこと。

幼稚園のころ、一人ずつ育てていた朝顔に水を上げるとき、

お花のところにたっぷりかけてあげようね。
お水をかけるとお花さんが喜んでいるよね。

と教わった。

僕は、きらきらと輝いている花の笑顔を思った。


小学校に上がって、同じように課題であった朝顔の花に水をやっていると、

ねえ、まるやまくん、上から水かけてもしょうがないよね。

植物は根っこから水を吸うんだから、この下の土のとこにかけてあげなくちゃ、水がとどかないでしょ?

と先生が言ったのだ。

僕は少しのショックを覚えた。

それは小さな小さな「現実」に出会った瞬間であった。


子どもは空想のゆりかごの中から、少しずつ現実の苦さや、また旨味を知り大人になっていく。

空想の中で見たものが、外の世界をどう捉えていくかの色眼鏡に変化していくのだ。

空想と現実が上手に入り混じって、初めて人間らしいやさしさが生まれる。

周りの大人達がしてくれたように、僕も自分の子だけでなく、関わる子どもたちのゆりかごを守るように子育てをしていきたいと思う。

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