サーカス物語

先日、久しぶりに演劇を観た。

ミヒャエル・エンデ「サーカス物語」である。

あまり素晴らしかったので、ここしばらく余韻に浸っている。


解散の危機にゆれるサーカス団に、巨大化学工場から“おいしい”話がもちかけられた。ただし、一座から少女エリを追い出すという条件付き…。現実を受け入れるか、大切なものを守るためにたたかうか――悩むピエロのジョジョや団員たち。けれど何も知らないエリはいつものようにお話をせがむ。ジョジョが語りはじめた恋と冒険の物語にはエリや団員たちも姿をかえて登場し、いつしか空想は現実を変える力を持ちはじめる。


登場人物のサーカス団員たちは、まさしく現代の僕たち音楽家や芸術家だと思った。

合理主義や、大企業や権力の二面性や、はたまた輪廻転生や、ヒューマニズムや、いろいろな伏線が張り巡らされていて、感動的ながらもよくよく読んでみないと、理解するのは難しいかもしれない、というそんな作品である。

でも、理屈では伝わらない何かが大事なのは、いちばん自分たちがよくわかっていること。

しみじみと涙がでるシーン。

音楽と言葉。

やさしさ。

それで十分なのだと思う。

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